自分で請求して非該当だった事例 審査請求するか 再請求するかの判断

投稿日: カテゴリー: 発達障害知的障害

自分で請求して非該当だった事例 審査請求するか 再請求するかの判断

 

今回の事例は母が市役所で相談して自分で請求して不支給になった事例です。

市役所の支所で20歳前障害の自閉症スペクトラム症の障害年金請求を相談し用紙をもらって自分で請求をした。
市役所担当からは「この病名だったら年金はもらえますよ」と言われたので安心していた。
日本年金機構から不支給の通知が来て当センターに相談があった。
診断書等の請求書類のコピーと不支給決定通知書を見せていただきました。

不支給決定通知書の「判断の根拠となった事実関係等」には次のように記載されていました。

あなたの障害の状態、日常生活状況等に関しては、主に以下の事項が認められます。

・「日常生活能力の程度」は「(3)知的障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。」であり、「日常生活能力の判定」(程度の軽い方から1~4の段階評価に置き換え、その平均を算出したもの)は2.0以上2.5未満であること。

・家庭及び社会生活についての全般的状況は、「義父・実母・兄と同居。義父・実母・兄との関係は良好。職場での対人関係も良好」であること。

・現症時の日常生活活動能力及び労働能力については、「軽度~境界領域の精神発達遅滞があるため、情報伝達には工夫を要す。平易な言葉でゆっくりと分かりやすく視覚的にも伝えることが必要。かっては感情をコントロールが困難で、特に怒りを収めることができなかったが、年齢とともに感情コントロールも上達している。職場では年上の方々に可愛がられて機嫌よく収納できている。

また、生活面では一人で遂行できないこともあるが、適宜声かけがあるとスムーズに流れる。自閉スペクトラム症の特性を持ち、こだわりもあり気持ちの切り替えが難しく頑固な一面もあるが、反面納得すれば真面目に丁寧に物事をやり遂げることができる。家庭での日常生活では家族の見守りや適時の声かけを要すが、守られた環境下では危険もなく穏やかに生活することができる。義父との関係も良好に過ごせている」こと。

【判断】
以上のことから総合的に判断すると、あなたの障害の程度は、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとは認められませんので、 1級及び2級の障害の状態に該当しないと判断しました。

診断書を確認してみました。

日常生活能力の判定は2.1点、日常生活能力の程度は3 、障害程度の目安表では「2級~3級に該当」です。ここだけだと審査請求も可能かと思いましたが、診断書の文章部分を読むと2級該当は難しいです。
主治医の先生は優しい先生と思われました。
請求者のことを悪く書いていません。何でも頑張って出来るようになったと書いています。
このように書いてもらうと母親としては嬉しくて良い診断書を書いていただいたと思われたようです。
その結果は不支給でした。

この診断書の内容では認定調書を開示請求で入手し審査請求しても2級該当は無理と判断し再請求をすることにしました。

 

再請求で診断書を新たに主治医の先生にお願いするにあたり次のことを確認しました。

・日常生活能力
日常生活能力の判定は、 適切な食事と社会性が3点、身辺の清潔保持は1点。その他は 全て2点でした。
単身生活でこの点数では障害年金受給は難しいため診断書の作成依頼した時の状況を確認しました。
主治医の先生からは日常生活能力について具体的な質問はなく、母親からも具体的に説明はしなかった。この点数で間違いないかとお尋ねするとこんなにいい点数にならないとのことです。

このために日常生活状況を聴取し親と同居ではなく単身生活で自発的にできることは少ないことを診断書作成依頼書で提出しました。

身辺の清潔保持は次のように書いて「できる1点」が「自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる3点」に変更していただきました。

・鏡を見ることが精神的にできないので整髪はできない。寝ぐせは指摘されないと直さない。
・歯磨きや髭剃りも言われないと自分からはしない。母が仕上げをすることがある。
・自分の部屋や身の回りの整理・整頓は全くしようとしない。
・脱いだ服はそのまま放置。食べかすもゴミ箱に入れることなく放置している。言ってもしない。
・洗濯も母が全てやっている。

その他も10項目の全てが3点になりました。

・日常生活能力の程度

日常生活能力の程度は診断書作成依頼書で次のように書いて3の判断を4程度ではないかと主治医の先生にお願いしましたが、3のまま変更してもらえませんでした。

知的障害は診断書では5が一番重篤な5段階で評価することになっています。
「(3) 知的障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。」よりも、「(4)知的障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。」に該当する可能性があると思われます。
(3)は(1)のことを行うためには、支援を必要とする場合が多い。(4)は(1)のことは経常的な援助がなければできない
と説明書きがあります。
当職は(4)の経常的な援助が必要に該当すると考えていますが、「(5) 知的障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。」では常時とされていて経常的と判別がつきにくく、常が入ることにより限りなく常時に近いと解釈されやすく、(4)の「経常的」を(3)の「支援を必要とする場合が多い」に誘導しようとするものです。
先生のご賢明な判断で「(4) 知的障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。」にしていただければ幸いです。

文章部分の対策

文章部分は「サポートがあれば出来る。」 ではなく「まだまだサポートが必要」と書いていただくようお願いしました。その結果、次のように変更していただきました。
仕事場での援助の状況や意思疎通の状況

現在通勤中のA型事業者は、理解や適切な支援があり、雰囲気も良く、職員や年長の利用者からも頻繁に声かけがあり、本人の気持ちを伝えることもでき、困り感なく穏やかに就労継続できています。

現在通勤中のA型事業所では、職員や年長の利用者から適切な支援を得られ、本人が困り感を意思表示しやすい雰囲気もある。それでも、急なスケジュール変更に対応できずパニックになる。現状のごとく全般にわたる多くのサポートがないと就業継続は困難である。

現在の症状または状態像

難しい漢字や計算は困難

 難しい漢字は書けない。難しい計算はできない。
感情表現力や自己制御力は年齢より幼いが、時間とともに発達している。

感情表現力や自己成功力は年齢より幼い。
日常生活では見守下で適宜サポートがあれば落ち着いて生活することができる。

日常生活では常に見守りやサポートを要する 。
聴覚過敏のため、ざわつきや乳幼児の泣き声が苦手で待合室ではイライラして耳を塞ぐが、最近は自分で離れた静かな場所で待つなど対処できるようになった。

聴覚過敏のため、ざわつきや乳幼児の泣き声が苦手で待合室ではイライラして耳を塞ぐ。現在も聴覚過敏を認めておりざわざわした場所にいると情緒不安定になる。声かけにより離れた静かな場所に移動し落ち着きを取り戻す。急な予定変更に対処できず情緒不安定になる 。

日常生活状況 全般的状況     (家族及び家族以外の者との対人関係についても具体的に記入してください)

義父・実母・兄と同居。義父・実母・兄との関係は良好。職場での対人関係も良好。

常時家族、特に母親からの見守りや支援を要している。 職場でも同様で職員から多くの支援を要している。

現症時の日常生活活動能力及び労働能力

軽度~境界領域の精神発達遅滞があるため、情報伝達には工夫を要す。平易な言葉でゆっくりと分かりやすく視覚的にも伝えることが必要。かっては感情コントロールが困難で、特に怒りを収めることができなかったが、年齢とともに感情コントロールも上達している。職場では年上の方々に可愛がられて機嫌よく就労できている。また、生活面では一人で遂行できないこともあるが、適宜声かけがあるとスムーズに流れる。自閉スペクトラム症の特性を持ち、こだわりもあり気持ちの切り替えが難しく頑固な一面もあるが、反面納得すれば真面目に丁寧に物事をやり遂げることができる。

家庭での生活面では家族の見守りや適宜の声かけを要すが、守られた環境下では危険もなく穏やかに生活することができる。義父との関係も良好に過ごせている。

軽度~境界領域の精神発達遅滞があるため情報伝達には工夫を要します。平易な言葉でゆっくりと分かりやすく、時には視覚的にも伝えることが必要です。生活面では、ほとんど全ての場面でサポートを要します。自閉スペクトラム症の特性を持ち、こだわりもあり気持ちの切り替えが難しく頑固な一面があり、ときにはパニックを起こすので、対応の工夫を要します。家庭での日常生活では全般にわたり家族の見守りや声掛けを要します。職場でも同様に全般的な支援を要しますが、本人が安心できる環境下では単純作業を真面目に遂行することができます。

予後

 

当面は保護者と生活を続ける予定。医療面では今後本人のタイミングで精神科に移行する予定です。

当面は保護者と生活を続ける予定ですが、全般にわたる支援を要していることから自立独居は困難と考えます。医療面では今後本人のタイミングで精神科に移行予定です。

新しい診断書の記載内容は満足のいく内容になりました。
病歴就労状況等申立書も、A型事業所での就労状況、家庭での日常生活についての各項目すべてについて具体的な状況を追記しました。
再請求の結果2級認定されました。

今回のまとめ

自分で請求する場合は診断書の内容をよく確認してください。
間違っても封筒に入れてもらった診断書をそのまま封を切らずに年金事務所には持っていかないでください。
症状は診断書に書いているとおりですか?少しでも違うと思ったら主治医の先生に訂正を依頼してみてください。
ご本人の日常生活を一番良く知っているのはご家族です。主治医の先生は診察室の中のご本人しか知りません。
正しい症状が書けてない診断書では正しく認定してもらえません。
結果が出て慌てるよりは最初から専門の社会保険労務士にご相談ください。

 

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