目次
- 1 がん(悪性新生物)の障害年金請求
- 2 がんによる障害とは何を指して言うのでしょうか。
- 3 (3) 悪性新生物による障害は、次のように区分されます。
- 4 (4) 悪性新生物による障害の程度を一般状態区分表で示されています。
- 5 がん(悪性新生物)による障害の認定基準はこちらにあります。参考にしてください。
- 6 (5) 悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は、その障害部位の障害認定基準の認定要領により認定されます。
- 7 (6) 悪性新生物による障害等級の目安
- 8 (7) 転移性悪性新生物
- 9 (8)喉頭がんと直腸がんについては別に定められています。
- 10 人工肛門・新膀胱・尿路変更術についてのより詳しい説明はこちらにあります。
- 11 (9)がんによる疼痛
- 12 お問い合せ
がん(悪性新生物)の障害年金請求
がんによる障害とは何を指して言うのでしょうか。
悪性の腫瘍で手足を切断したような場合ですと、すぐにわかりますが、内臓のがんなどは何を以て認定されるのでしょうか。
障害認定基準によると「がん」の障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するとされ、また、障害認定日以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定するとされています。
障害の程度 | 障害の状態 | 令別表 |
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの | 国年令 別 表 |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの | |
3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの | 厚年令 別表第1 |
(1) 悪性新生物は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々です。
がんの場合は、ずばり全身の衰弱です。それも、がんそのものによる全身の衰弱と抗がん剤の副作用による衰弱が取ってもらえます。
(2) 悪性新生物の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査、X線CT検査、MRI検査、血管造影検査、内視鏡検査等があります。
もちろん臨床所見は要りますが、例えば、血液検査の数値が正常値内であっても認定されることもあります。
衰弱といえば、体重減少とかヘモグロビンの数値とかが重視されますが、これも劇的に減少しないとダメかといえばそうでもありません。
あくまでも、総合的(再発・転移して倦怠感が著しく、普通に働けない、あるいは家事ができない状態・・etc)に判断して全身の倦怠感が日常生活に支障を与えていると認められた場合は認定されています。
(3) 悪性新生物による障害は、次のように区分されます。
ア |
悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害 |
イ |
悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害 |
ウ |
悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害 |
障害認定基準には、「がん」について第16節で認定基準、認定要領が示されていますが、指標となる具体的な(客観的に判断できる)数値は、ほとんどありません。このため、診断書を読んで何級相当になるか、判断が難しいときがあります。
しかし、それでは困ってしまいます。そこで、参考になるのが、診断書の「一般状態区分」です。
なお、(8)に後述していますが、喉頭がんと直腸がんについては具体的に手術内容によって等級が決まっています。
(4) 悪性新生物による障害の程度を一般状態区分表で示されています。
一般状態区分表&障害等級
区分 |
一般状態 |
障害等級 |
ア |
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
非該当 |
イ |
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるもの(例えば軽い家事、事務など) |
3級 |
ウ |
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの | 2又は3級 |
エ |
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
2級 |
オ |
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
1級 |
「ウ」や「エ」のように、どちらの等級になるか判断できない場合には、診断書の他の項目(臨床所見、予後など)も参照されます。
日頃から主治医とコミュニケーションをとって日常生活に困っていることをお伝えして、適正な診断書を書いていただくことが重要です。
がん(悪性新生物)による障害の認定基準はこちらにあります。参考にしてください。
(5) 悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は、その障害部位の障害認定基準の認定要領により認定されます。
悪性新生物の障害年金請求は「血液・造血器・その他の障害」様式第120号の7を通常使用しますが、障害部位によっては次のような診断書を使用します。
・喉頭がんで喉頭全摘手術が行われ言語機能に障害が残った場合は「聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・音声又は言語機能の障害用」様式第120号の2を利用します。
・手部皮膚がんのため上肢の欠損障害を残した場合は「肢体の障害用」様式第120号の3を利用します。
・直腸がんによる人工肛門・新膀胱・尿路変更術等を施した場合は「血液・造血器・その他の障害」様式第120号の7を利用します。
・当センターでは「甲状腺がん・多発骨転移」の障害年金請求で血液・造血器・その他の障害」様式第120号の7と「肢体の障害用」様式第120号の3の2枚の診断書を使用して1級該当になった事例があります。この事例の日本年金機構の受給権者原簿の傷病コードは悪性新生物とその他になっていました。
(6) 悪性新生物による障害等級の目安
悪性新生物による障害等級の認定の目安は、(4)に示したとおりですが、全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、悪性新生物という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定されます。
(7) 転移性悪性新生物
転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められます。
(8)喉頭がんと直腸がんについては別に定められています。
○喉頭がんによる喉頭全摘出手術
喉頭全摘出手術を施したものについては、障害認定基準の第6節/音声又は言語機能の障害に次のよう定められています。
・ 手術を施した結果、発音に関わる機能を喪失したものについては、2級と認定する。
・ 障害の程度を認定する時期は、喉頭全摘出手術を施した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
○直腸がんによる人工肛門・新膀胱等については、障害認定基準の第18節/その他の疾患による障害に次のように定められています。
・ 人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と認定する。
なお、次のものは、2級と認定する。
(ア) 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
(イ) 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの
なお、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する。
・ 障害の程度を認定する時期は、次により取り扱う。
人工肛門を造設し又は尿路変更術を施した場合はそれらを行った日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とし、新膀胱を造設した場合はその日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
なお、(ア)及び(イ)の場合に障害の程度を認定する時期は、次により取り扱う。
- 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日又は新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
- 人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合は、それらを行った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
- 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合は、人工肛門を造設した日又は完全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
人工肛門・新膀胱・尿路変更術についてのより詳しい説明はこちらにあります。
(9)がんによる疼痛
ウイキペディアによると癌性疼痛(がんせいとうつう)は、腫瘍細胞の浸潤により組織が損傷されたり、あるいは腫瘍に伴う種々の不快感に関連した苦痛全体を指す言葉である。がん患者の70%が痛みを経験するといわれ、その痛みは身体的苦痛だけでなく、心理的・社会的・精神的にも影響を及ぼし患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を著しく低下させる。ただし、癌性疼痛の約80%は鎮痛薬を適切に使用することによってコントロールできるとされる。
がんによる疼痛を含む疼痛については障害認定基準第9節/神経系統の障害に次のよう定められています。
・ 疼痛は、原則として認定の対象とならないが、四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛、脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛、根性疼痛、悪性新生物に随伴する疼痛、糖尿病性神経障害による激痛等の場合は、疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見等により、次のように取り扱う。
ア 軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、3級と認定する。
イ 一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものは、障害手当金に該当するものと認定する。
この認定基準によればがんによる疼痛も「軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度の疼痛があれば3級と認定」される可能性があります。
お問い合せ
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