初診日

初診日

障害の原因となった疾病や負傷で初めて医療機関に受診した日

 初診日とは

初診日とは障害の原因となった傷病で初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。具体的には次のような場合を初診日としています。

  • 初めて医師の診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
  • 同一傷病で転医している場合は、一番初めに医師の診療を受けた日
  • 過去に傷病が治癒していたが、同一傷病で再度発症した場合は、再度発症し医師の診療を受けた日
  • 最初の医師で傷病名が確定しないあるいは誤診で、対象傷病と異なる傷病名が記載されていた場合でも、同一傷病と判断される場合は、最初の医師の初診日が対象傷病の初診日
  • じん肺症(じん肺結核を含む)についてはじん肺と診断された日
  • 障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日
  • 知的障害(精神発達遅滞)は先天性であれば20歳以降の初診でも生まれつきなので出生年月日が初診日、又、出生日を初診日とするので初診証明は不要 ただし、頭部外傷や高熱などが原因の場合は、原則として初めて受診した日が初診日 また、てんかんは知的障害ではないため初診日の特定が必要
  • 先天性心疾患、網膜色素変性症などの先天性疾患は、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
    心房中隔欠損症、網膜色素変性症
  • 先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日、青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、発症後に初めて診療を受けた日
  • ポストポリオ(ポリオ後症候群)
    ①~④の全ての要件を満たした場合は、ポストポリオで初めて医師の診断を受けた日
    (庁保発0217001号平成18年2月7日)
    ① 新たな筋力低下及び異常な筋の易疲労性があること
    ② ポリオの既往歴があり、少なくとも一肢にポリオによる弛緩性(しかんせい)運動麻痺が残存していること
    ③ ポリオ回復後ポストポリオを発症するまでに、症状の安定した期間が(概ね10年以上)あること
    ④ ①の主たる原因が、他の疾患でないこと
    ⑤ 必ず神経内科等ポストポリオの専門医により診断が行われること
    ポストポリオ(ポリオ後症候群)の障害認定についての詳細はこちらをご覧ください。
  • 精神疾患(器質性精神障害、てんかん、知的障害を除く)の場合においては、正確な傷病名が確定した日でなくても、請求傷病の症状として診療を受けていたと認められる場合(例:自律神経失調症の傷病名であるが、精神の薬物療法を受けていた場合)は、その診療を受けた日。(ただし相当因果関係の有無については審査があります。)
  • 大動脈不全症は、心不全症状が現れ受診した日が初診日
  • てんかんは知的障害ではないため初診日の特定が必要

ワンポイント  

 

・整骨院等での受診

障害年金の初診日は、医師又は歯科医師の診療を受けた日とされていますので、整骨院、ほねつぎ、鍼灸院等は初診日と認められません。  (厚生年金保険法第47条 国民年金法第30条)

・発達障害(アスペルガー症候群やADHDなど)は、脳機能の障害で症状が通常低年齢で発現しますが、社会人になって厚生年金加入して仕事に対応できなくなり受診するケースもよくあります。このため、発達障害は自覚症状があって初めて受診した日が初診日になります。

・健康診断を受けた日(健診日)は、原則初診日として取扱われません。

ただし、初診時(1番最初に受診した医療機関)の医師の証明が添付できない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者社から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めたうえで、初診日として認められることがあります。

初診日が不明の場合の取り扱い

初診日(発病日)の証明

国民年金には事後重症の請求期限の時効はありませんでしたが、厚生年金旧法には初診日から5年以内に請求する制限がありました。この5年制限は60年法改により昭和60年7月から撤廃されました。
このことにより事後重症の障害年金の請求は公的年金の全制度で被保険者中に初診日があって一定の受給資格要件を満たしていて65歳前であればいつでも請求することができるようになりました。

ただし、いつでも請求できるといっても初診日の医師の証明が原則的に必要です。初診日の証明はこの受診状況等証明書の様式を使用します。

また、認定日請求の場合でも、精神障害等の認定日がかなり遡及する傷病の請求がよくあります。終診(転医、中止)から5年以上経過しているため診療録の保存期限5年(医師法第24条)、その他診療に関する諸記録の保存2年(医療法施行規則第20条)により診療録等を廃棄していて初診証明がとれないケースがよくあります。

このような場合にはこの受診状況等証明書が添付できない申立書の添付と、2番目に受診した医療機関による最初の受診医療機関及び初診日が記載されている医師の証明書が提出できるか確認し、添付できない場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出してもらいます。

この作業を一番古い医師の証明が添付できるまで繰り返すこととなります。それ以後の一番古い受診医療機関の初診証明を求めてください。
初診時の医療機関において受診状況等証明書がとれない場合は、次の「初診日の確認フロー」を参考にしてください。

初診日確認フォロー

受診状況等証明書の様式はこちらです。

受診状況等証明書が添付できない理由書様式はこちらです。

知的障害(精神遅滞)は出生時を初診日とするので初診証明は不要です。

障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて

(平成27年9月28日 年管管発0928第6号)

初めて受診した医院等で初診証明(受診状況等証明書)が取れない場合に20歳前障害による障害基礎年金に限って「20歳前障害による障害基礎年金の請求において初診日が確認できる書類が添付できない場合の取扱いについて(年管管発1226第3号平成23年12月16日)」により、初診日の証明がとれない場合であっても明らかに20歳前に発病し、医療機関で診療を受けていたことを複数の第三者(民生委員、病院長、施設長、事業主、隣人等であって、請求者、生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者の民法上の三親等内の親族は含まない。)が申立て(証明)したものを添付できるときは、初診日を明らかにした書類として取り扱われていました。

また一部共済組合では初診証明が取れない場合には本人が申し立てた初診日を認める取扱いがされていて、被用者年金間では官民格差がありました。

このため被用者年金一元化に併せて格差解消が図られ、厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年厚生労働省令第144号)が、平成27年9月24日に公布され、平成27年10月1日から施行され、厚生年金を含めての取扱いが変更になりました。

この改正により厚生年金保険法施行規則第30条10項3では「障害の原因となった疾病又は傷病に係る初診日を明らかにすることができる書類」となっていたものが「障害の原因となった疾病又は傷病に係る初診日を明らかにすることができる書類(当該書類を添えることができないときは、当該初診日を証するのに参考となる書類)」に変更になりました。国民年金法施行規則等も同様の改正が行われました。

この改正により「20歳前障害による障害基礎年金の請求において初診日が確認できる書類が添付できない場合の取扱いについて(年管管発1226第3号平成23年12月16日)は廃止されました。

平成27年10月1日からの第三者証明の取扱い方法

① 第三者証明と参考となる他の資料による初診日の確認について
第三者証明と参考となる他の資料を提出し、両資料の整合性等を認められた場合のみ申し立てた初診日初診日として認められます。

② 第三者証明は次のような内容を記載します。
ア 請求者の初診日頃の受診状況を直接的に見て認識していたこと
イ 請求者や請求者の家族等から、請求者の初診日頃に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていたこと
ウ 請求者や請求者の家族等から、請求時から概ね5年以上前に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていたこと

③ 参考となる他の資料とは
診察券や入院記録等の初診日について客観性が認められる資料です。医療機関が請求者の申立てによる初診日等を記載した資料は不可です。
(2)第三者証明の留意点
①請求者の民法上の三親等以内の親族による第三者証明は認められません。
② 医療従事者による第三者証明
初診日頃に受診した医療機関の担当医師、看護師その他の医療従事者による第三者証明は、初診日頃の受診状況を直接的に見て認識していることから、医証と同等の資料として他の資料がなくとも、当該第三者証明のみで初診日が認められます。
なお、医療従事者による第三者証明であっても、初診日頃の受診状況を直接把握できない立場であった医療従事者が、請求者の申立てに基づいて行った第三者証明は初診日として認められません。

③必要な第三者証明の数
原則として複数の第三者証明が必要です。
ただし、1枚でも医療機関受診の経過や医療機関におけるやりとりなどが具体的に記載されて、相当程度信憑性が高いと認められるものは1枚で認められます。

第三者申立書の様式はこちらです。
第三者申立書の記入方法の説明はこちらです。

障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて(平成27年9月28日年管管発0928第6号)について詳しくはこちらを参照してください。
厚生労働省年金局事業管理課長通知(平成27年9月28日年管管発0928第6号)の全文と日本年金機構の取扱いについての通知です。この通知は95頁あります。興味のある方はダウンロードして印刷してお読みください。

平成27年9月28日年管管発0928第6号通知は平成31年2月1日年管管発0201第8号で一部改正され20歳前に初診日がある障害基礎年金請求で初診証明が一部簡素化されました。通知文はこちらを参照してください。

再発または継続の考え方・・社会的治癒

過去の傷病が治癒したのち再び同一傷病が発症した場合は、再発として過去の傷病とは別疾病とし初診日は再発で受診した日になります。治癒したと認められない場合は、傷病が継続しており過去の傷病と同一傷病として取り扱われ最初に受診した日が初診日となります。
なお、医学的に治癒していないと認められる場合であっても、社会的治癒が認められる場合は、再度発症したものとし、別疾病として取り扱われます。

旧社会保険庁時代に通知等で社会的治癒の考え方が示されています。

内部障害(結核)における「社会的治癒」とは、医療を行う必要がなく、社会復帰したものをいうと解されているが、今後も療養を必要とする患者が単に経済的理由のみにより退院し六月~一年以上医療をやめ、家事手伝いを行っている場合は、社会的治癒とは認められないと思うが如何。
なお、社会的治癒としての判例又は基準があれば、ご教示願いたい。

療養の必要がありながら単に経済的理由によって医療を受けてないものについては、たとえ稼働していたとしても、社会的治癒があったものとは認められない。
なお、社会的治癒とは、医療を行う必要がなくなって社会復帰しているものをいう。
昭和43年2月23日庁文発第2149号

社会的治癒とは
社会的治癒とは医療を行う必要がなくなり社会復帰して、無症状で医療を受けることなく相当期間(傷病にもよりますが、少なくとも5年)経過していることが必要です。
したがって薬冶下にある場合は、一般社会における労働に従事している場合でも社会的治癒とは認められません。
また治療の必要がありながら単に経済的理由などによって医療を受けないものについては、たとえ社会復帰していたとしても、社会的治癒があったとは認められません。
(センターつうしん1998/12)

旧社会保険庁は「薬冶下にある場合は、一般社会における労働に従事している場合でも社会的治癒とは認められません。」としていますが、社会保険審査会は持続的服薬があっても次の腎移植者の審査会裁決例は社会的治癒を認めています。

当審査会では、持続的服薬があっても、それが予防的服薬の範疇にあると認められ、寛解状態が相当期間続き、社会保険の被保険者として健常者と変わりない職業生活を送っていると判断できる場合は、社会的治癒を認めている。

審査会裁決例の全文は次のPDFを参照してください。
腎移植者の社会的治癒についての審査会裁決例(項番15平成21年(厚)第418号平成22年4月30日裁決)PDF

精神障害者では、日常生活にあまり障害を与えない治療を続けて受けていれば、生体の機能が正常に保持され、悪化の可能性が予測されない状態が社会的治癒として裁決で認められています。

(医学的知見によれば、理想的な「疾病の治癒」は、原状の完全回復であって、「治癒操作、すなわち、薬物の持続的服薬、日常生活の制限、補助具の装用などを行わなくても生体の機能が正常に営まれ、かつ、病気の再発が予測されない状態」と定義することができるが、大部分の精神障害を含めて、慢性の疾患では、上記の理想的治癒像はなかなか得られないところ、多くの精神障害については、「日常生活にあまり障害を与えない治療を続けて受けていれば、生体の機能が正常に保持され、悪化の可能性が予測されない状態」が「社会的治癒」であると解されている。

以上みてきたように、請求人への投薬量が、遅くとも昭和62年12月から平成8年2月までの期間(以下「当該期間」という。)について、通常使用量の下限又は下限に近い水準で維持されており、「生体の機能が正常に保持され、悪化の可能性が予測されない状態」にあったと認められることから、請求人は当時、精神医学的に「社会的治癒」に該当する状態にあったと判断できる。

審査会裁決例の全文は次のPDFを参照してください。
精神障害者の社会的治癒についての審査会裁決例(平成16年7月30日裁決)PDF

社会的治癒についてはこちら社会的治癒とは?にもう少し詳しく解説していますのでご参照ください。

因果関係の考え方

肝疾患の肝炎→肝硬変→肝癌のように、前の疾病または負傷がなければ、後の疾病(負傷は含みません)が起こらないであろうと認められる場合は、因果関係ありとして前後の疾病を同一疾病とみなして取り扱います。ただし、通常、後の疾病には負傷は含まれません。初診日は前の疾病の初診日となります。
具体的な例は以下のとおりです。

相当因果関係なしの例

  • 高血圧と脳出血または脳梗塞は因果関係なし。
    昭和58年2月に社会保険審査会が、医学的には、高血圧と脳出血は「因果関係」がありますが、高血圧があれば必ず脳出血が発症するとは限らず、また、脳出血は高血圧以外の原因でも起こるのであるから、因果関係なしとした。
  • 糖尿病と脳出血または脳梗塞は因果関係なし。
  • 近視と黄斑部変性、網膜剥離または視神経萎縮は、因果関係なし。
  • 思春期適応障害は統合失調症の初診とはできない 因果関係なし。
  • 神経性食思不振病(やせ病)は統合失調症の初診とはできない。因果関係なし。

ワンポイント  脳は一梗塞・一出血が一疾病です

脳梗塞や脳出血による肢体不自由や高次脳機能障害等で障害年金を受給している者が、状態が悪化したので改定請求したいと相談があったら、新しく脳梗塞か脳出血が発生したのかどうかを確認してください。
新しく脳梗塞か脳出血が発生したのであれば、脳の別の部位(場所)の出血や梗塞のため額改定ではなく新しい別傷病による新規請求になります。
脳は一梗塞・一出血が一疾病です。同じ病名でも新しい傷病なので新規請求になるので注意してください。
2級障害受給者に新規の2級障害が発生した場合は1級に併合されます。
3級障害が発生の場合は選択により今までの級が支給されます。2級プラス3級が1級に改定されるのは3級障害が眼と耳の場合だけです。

 相当因果関係ありの例

  • 脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞と
    血栓、塞栓、心疾患(弁膜症、不整脈、狭心症等)は因果関係あり。
    心房細動による高血圧性心疾患は因果関係ありとなるケースがあります。
  • 近視と網脈絡膜萎縮は診断書に原因・誘因となると明記されていれば因果関係あり。
  • 腎炎と腎不全、人工透析  因果関係あり。
  • 精神病と自殺 因果関係あり。
  • ストマイ難聴  結核(肺結核症)の化学療法でストマイ投与(SM)による副作用として聴力障害が生じた場合は因果関係あり。
  • ステロイドの投薬による副作用の大腿骨骨頭無腐性壊死(人工股関節装着) 因果関係あり。
    主なステロイドを使用する傷病
    ネフローゼ症候群・全身性エリテマトーデス(SLE)・膠原病・腎移植
  • 肝炎と肝硬変  因果関係あり。
  • 手術の輸血による肝炎併発  因果関係あり
  • 事故または脳血管疾患による精神障害(高次脳機能障害)  因果関係あり。
  • 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性嚢胞腎、慢性腎炎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものでも因果関係あり。
  • 肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものでも因果関係あり。
  • 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは因果関係あり。
  • パーキンソン病と老人性痴呆症
    主治医の見解によるが、通常は因果関係なし。主治医が相当因果関係ありとしていればあるとすることもある。
  • バセドウ氏病と統合失調症は因果関係あり。
  • 敏感関係妄想は統合失調症の初診とできる。因果関係あり。
  • うつ病、統合失調症
    精神科の病気の始まりは、不眠・頭痛・耳鳴り等を伴うことが多く、精神科ではなく内科、耳鼻咽喉科などの他科を受診する事例がよくあります。
    神経症と診断されていた人の病名が統合失調症に変わることもあります。変更された時点が統合失調症の初診日となる可能性もあります。

知的障害の初診日

知的障害の場合は先天性または生まれた後の早い時期に生じる障害とされているため、生まれた日が初診日とされているため、知的障害で障害年金請求では受診状況等証明書の提出は不要です。

中高年になって知的障害と分かった場合は、市区町村の福祉担当課で相談して知的障害者更生相談所で療育手帳の交付を受けてください。療育手帳があれば初診日証明は不要です。

 

 

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