てんかんの障害年金請求

てんかんとは?

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返し起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児期から⾼齢期まで、全ての年代で発病します、3歳以下の発病が最も多く、80%は18歳以前に発病すると⾔われています。

最近の傾向では、⼈⼝の⾼齢化に伴い、脳⾎管障害などが原因となる⾼齢者の発病が増えています。

患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万人~100万人)と、誰もがかかる可能性のある病気の一つです。

てんかんの原因はさまざまで、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。

てんかんと一口で言っても、薬物療法によって完全に発作が消失するものから、「難治性てんかん」と呼ばれる発作の抑制が薬物療法ではできないものまで様々なケースがあります。さらに発作が起こる頻度もケースにより様々です。
また、てんかん発作は発作間欠期(症状が出たり消えたりしている場合、症状が治まっている期間)においても、てんかんに起因する精神神経症状(被害妄想や抑うつ気分といった統合失調症や気分障害にみられる症状)や認知障害などが出現することがあり、これを「てんかん性精神病」といいます。

 

てんかんによる障害年金請求

障害年金の対象になるのは難治性てんかん」と「てんかん性精神病」です。

「難治性てんかん」は薬を飲んでも発作が生じてしまうことから労働や日常生活が制限されている人に対し、てんかん発作の頻度に応じて、1級~3級の障害年金が支給されます。

「てんかん性精神病」は発作は治まったが、その後被害妄想や抑うつ気分といった症状が出現するものです。この被害妄想や抑うつ気分といった精神症状による労働や日常生活の制限の程度に応じて、1級~3級の障害年金が支給されます。

「難治性てんかん」はてんかんの認定基準、「てんかん性精神病」は「症状性を含む器質性精神障害」に準じて認定されることになっていて各々別の認定基準で認定されます。

以下順番に説明します。

てんかん(発作)の障害認定基準

障害認定基準ではてんかん発作のタイプを次の4タイプに分けています。

A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
C:意識を失い、行為を途絶するが、倒れない発作
D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作

<注>この発作の頻度については、抗てんかん薬の服薬や外科的治療によっててんかん発作が抑制されている場合は原則として認定の対象にならないので注意が必要です。

 

てんかん(発作)の障害認定基準は、次のとおりです。

障害の程度

障害の状態

1級

十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の援助が必要なもの

2級

十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの

 

認定要領では次のように書かれています。

(1)てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん発作などに分類されるが、具体的に出現する臨床症状は多彩である。

また、発作頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制ができないものまで多様である。

さらに、てんかん発作は、その重症度や発作頻度以外に、発作間欠期においても、それに起因するさまざま程度の精神神経症状や認知障害などが、稀ならず出現することに留意する必要がある。

(2)てんかんの認定に当たっては、その発作の重症度(意識障害の有無、生命の危機性や社会生活での危険性の有無など)や発作頻度に加え、発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果、日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減を重視した観点から認定する。

様々なタイプのてんかん発作が出現し、発作間欠期に精神神経症状や認知障害を有する場合には、治療及び病状の経過、日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。

また、てんかんとその他認定の対象となる精神疾患が併存するときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

(3)てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制される場合にあっては、原則として認定の対象にならない。

以上から、てんかん発作では発作が4タイプに分けられて、そのタイプと発作の頻度によりほぼ障害等級が決定されます。

なお、抗てんかん薬の服用等により日常生活でてんかん発作が抑制されている場合は、障害年金は受給できません。

 

てんかん性精神病(症状性を含む器質性精神障害)の障害認定基準

てんかんでは、発作が起こる前に怒りっぽくなるなどの症状や、発作の症状として精神症状があらわれることがあります。さらに、発作後に不安感や興奮状態などがみられることもあります。

てんかんに関連した精神症状

意識障害

意識が変わる(意識変容)、もうろうとする、意識が混濁する

感情障害

不機嫌になる、怒りっぽくなる

性格変化

まわりくどくなる(迂遠、冗漫)、しつこくなる(粘着性)

精神病様状態

幻覚がみえる、妄想的になる

行動異常

無意味な動作を繰り返す(自動症)、異常な行動、暴力的、犯罪

抗てんかん薬によって発作がおさまっていても、こういった精神神経症状が出ている場合は、精神神経症状について障害年金の等級が判断されます。

症状性を含む器質性精神障害の障害認定基準は、次のとおりです。

障害の程度 障害の状態
1級

高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの

2級

認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、働が制限を受けるもの

2 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの

認定要領では次のように書かれています。

・脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定する。

・高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となる。その障害の主な症状としては、失語、失行、失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがある。

なお、障害の状態は、代償機能やリハビリテーションにより好転も見られることから療養及び症状の経過を十分考慮する。

また、失語の障害については、本章「第6節 音声又は言語機能の障害」の認定要領により認定する。

・ 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

 

以上からてんかん性精神病では、常に誰かの援助がなければ日常生活がおくれない方が1級日常生活に支障が出ている方が2級労働に著しい制限を受ける方が3級ですが、具体的にどのような状態であれば「日常生活に支障が出ている」というのかが曖昧なため、各県で認定されていた障害基礎年金では地域によって認定内容にかなりの差が生じていました。

この地域差を解消するために、認定基準をより具体的に示した精神の障害に係る等級判定ガイドラインが平成28年9月に発表され、新たに審査の基準となっています。

この等級判定ガイドラインによると、診断書の記載事項である「日常生活能力の判定」及び「日常生活能力の程度」に応じて等級の目安が定められています。

「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」がポイント!

■日常生活能力の判定*1
日常生活にどのような支障があるかを、請求者が一人暮らしをした場合の支障の程度を7項目で4段階評価して判定します。

(1)適切な食事

配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができる。

(2)身辺の清潔保持

洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができる。

(3)金銭管理と買い物

金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできる。

(4)通院と服薬

規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができる。

(5)他人との意思伝達及び対人関係

他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行える。

(6)身辺の安全保持及び危機対応

事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができる。

(7)社会性銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続が行える。

以上の各項目を

1 出来る

2 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする

3 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる

4 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

の4つの段階にわけて評価します。

 

■日常生活能力の程度*2

日常生活能力を総合的に評価したものです。

1 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。

2 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。

3 精神障害を認め、家庭内の単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。

4 精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。

5 精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

上記の5つの選択肢から症状にもっとも近いものを選びます。

具体的な等級の目安は次の通りです。
日常生活能力の程度*2
5 4 3 2 1

日常生活能力の判定の平均*1

3.5以上 1級 1級又は2級
3.0以上3.5未満 1級又は2級 2級 2級
2.5以上3.0未満 2級 2級又は3級 3級又は

3級非該当

2.0以上2.5未満 2級 2級又は3級 3級又は

3級非該当

1.5以上2.0未満 3級
1.5未満 3級非該当 3級非該当

必ずこのとおりに認定されるわけではありませんが、参考としての大きな目安になります。

実際の診断書の記載例と認定方法の解説はこちらを参照してください。

 

てんかんで障害年金請求の注意事項

診断書・・主治医の先生に症状を詳細に具体的に書いてもらいましょう。

 てんかんで障害年⾦を受給できるかは診断書にどれだけ詳細に発作の程度や頻度、治療・服薬状況、⽇常⽣活や就労への⽀障等を書いてもらえるかにかかっています。

このため日頃からの主治医の先生とのコミュニケーションが重要になってきます。

当センターでは、日常生活の様子や発作時の様子を詳しくお聞きし「診断書作成依頼書」を作成し主治医の先生にお渡しいただきます。

障害年金の請求は一発勝負です。一度不支給になったのを審査請求で逆転するのは難しい作業です。てんかんの障害年金請求は是非当センターにご相談ください。

 

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