目次
脳脊髄液減少症
脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)又は脳脊髄液漏出症(のうせきずいえきろうしゅつしょう)について解説します。
1 脳脊髄液減少症とは
脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)とは、頭部への強い衝撃(交通事故や転倒)などで脳や髄液を覆う硬膜に穴があき、脳脊髄液(髄液)が持続的ないし断続的に漏出することによって、脳脊髄液が減少し、頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠・易疲労感などを引き起こすと考えられている疾患です。
頭痛、めまいなどの症状は、座位、起立位の状態で強く現れ、臥位(横になること)で軽減します。
2 診断書作成の注意事項
脳脊髄液減少症は診断書の様式第120号の3(肢体の障害用)または、様式第120号の7(その他の障害用)を使用するよう厚生労働省年金局事業管理課給付事業室から示されています。
◎様式第120号の3(肢体の障害用)の記載のポイント
- 日中(起床から就床まで)の臥位(臥床)時間が、診断書の⑨欄又は㉑欄に必ず記載すること。
- 診断書⑧、⑨、⑲~㉓欄は必ず記載すること。
- 診断書㉑欄には、脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)による症状が必ず記載すること。
- ㉒欄には、どのようなことに生活の不自由さが生じ、他人の介助・援助を要しているか、日中どのくらい就床しているか等、日常生活の状況や労働能力について、できるだけ詳しく記載すること。
- 脳脊髄液減少症の発症原因が、交通事故などの後遺症として請求されることがあります。交通事故などの後遺症の障害が残っている場合は、診断書の⑪欄~⑰欄を記載すること。
◎様式第120号の7(その他の障害用)の記載のポイント
- 日中(起床から就床まで)の臥位(臥床)時間が、診断書の⑨欄又は⑯欄に必ず記載すること。
- 診断書⑧~⑩、⑫、⑮1、⑯、⑰欄は必ず記載すること。
- 医師から、日常生活に関する指導が行われている時は、⑨欄にその内容を記載すること。
- プラッドパッチ等が行われている時は、⑨「手術歴」欄に記載すること。
- 脳脊髄液減少症に関する検査が行われている場合は、⑮1(2)欄に検査の内容と結果を記載すること。
- ⑯欄には、どのようなことに生活の不自由さが生じ、他人の介助・援助を要しているか、日中どのくらい就床しているか等、日常生活の状況や労働能力について、できるだけ詳しく記載すること。
◎脳脊髄液減少症の皆さんは手足の不自由より、脳脊髄液減少からくる高次脳機能障害的な様々な症状で、就労不能や生活に相当の支障をきたしている方も多くおられます。
このような症状のある方は様式第120号の3(肢体の障害用)の他に、出現している症状にあった様式第120号の4精神の障害用等の診断書を併せて提出することにより認定される可能性が高くなります。
脳脊髄液減少症の症状例・・参考wikipedia
頚部痛、全身倦怠、起立性頭痛、背部痛、視力障害、視力低下、視野異常、羞明、視覚異常、めまい、吐き気、聴力障害、顎関節症、頭重感、坐骨神経痛、上肢痛、顔面痛、筋肉痛、腰痛、肩甲骨間痛、脳神経症状、聴神経、耳鳴り、聴力低下、聴力過敏、耳閉感、三叉神経、顔面違和感 (顔面しびれ・顔面神経麻痺)、開口障害 (顎関節症)、迷走神経、自律神経障害 (動悸・発汗異常・体温調節障害・腸管運動障害等)、目のぼやけ、眼振、動眼神経麻痺(瞳孔散大)、眼瞼下垂、複視、光過敏、外転神経麻痺、味覚障害、嗅覚障害、咽喉違和感、発声障害、嚥下障害、高次脳機能障害、集中力低下、思考力低下、記憶力低下、鬱、睡眠障害、内分泌障害、月経異常、インポテンツ、乳汁分泌等、免疫異常、易感染症、アレルギー、易疲労感、食欲低下、電磁波過敏症、意識障害、無欲、小脳失調、歩行障害、パーキンソン症候群、認知症、上肢のしびれ、神経根症、直腸膀胱障害、頚部硬直、慢性脱水症状、痩せ 等
3 脳脊髄液減少症の様式第120号の3(肢体)診断書の記載例
厚生労働省年金局事業管理課作成の脳脊髄液減少症の1級認定事例の診断書です。
診断書記載のポイント⑨欄と⑳欄の記載内容は次のとおりです。
⑨欄 現在までの治療の内容、期間、経過、その他参考となる事項
保存的治療で経過観察するも症状が改善しないため、脳脊髄液減少症の診断のもと、硬膜外自家血注入療法を施工し、ある程度の改善を認めたが日中の大半を臥床して過ごしているため、通院が不可能なため在宅療法を受けている。
⑳欄 補助用具使用状況
車椅子を常時(起床より就寝まで)使用
認定方法の解説
- 傷病は「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」なので、 ⑲、 ⑳、㉑、㉒欄は必ず記載が必要です。
- ㉑欄には主な症状を詳しく記載してもらうことが必須です。
- 認定結果
障害の程度は、開眼での起立・立位保持が不可能であり、開眼での直線10m歩行が困難である。また、全身の痛みが酷く心身共に疲弊しており、日常生活動作が一人で全くできない、又は一人でできるが非常に不自由な状態で、ほとんど介助を要する状態となっており、日中の大半を臥床して過ごしていることから、 「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」に該当すると認められるので、 1級9号と認定されます。
厚生労働省年金局事業管理課作成の脳脊髄液減少症の1級~3級の認定事例の診断書PDFの全文と認定方法の解説はこちらです。参考にしてください。
4 脳脊髄液減少症の様式第120号の7(その他の障害)診断書の記載例
厚生労働省年金局事業管理課作成の脳脊髄液減少症の1級認定事例の診断書です。
診断書記載のポイント⑨、⑫、 ⑯欄の記載内容は次のとおりです
⑨欄 現在までの治療の内容、期間、経過、その他参考となる事項
臥床安静を指示し、点滴療法を行うも改善なし。MRI・脳槽シンチグラフィー・CTミエログラフィーによる精査の結果、髄液露出を認める。ブラッドパッチを2回行ったものの改善せず、症状は残存している。
⑫一般状態区分表
オ 身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
⑯現症時の日常生活活動能力及び労働能力
まっすぐ立つことが出来ない。歩行も困難。食事を摂ったり、排せつをするのにも他人の介助が必要な状態。ほぼ終日臥床しており、労働能力は無い。
認定方法の解説
- この記載例は、初診日が「平成25年11月13日」なので、障害認定日は1年6月後の平成27年5月13日になります。
- この診断書の障害の状態は、評成27年6月8日現在のもので、障害認定日以降3月以内の診断書なので、障害認定日の障害の状態はこれで確認できます。
- 傷病は「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」なので、 ⑧~⑩、⑫、⑮1、⑯、⑰欄は必ず記載が必要です。
- 医師から、日常生活に関する指導が行われている場合は、⑨欄にその内容を記載してもらってください。
- ブラッドパッチ等が行われている場合は、⑨「手術歴」欄に記載してもらってください。
- 脳脊髄液減少症に関する検査が行われている場合は、⑮1(2)欄に検査の内容と結果を記載してもらってください。
- ⑯欄には、どのようなことに生活の不自由さが生じ、他人の介助・援助を要しているか、日中どのくらい就床しているか等、日常生活の状況や労働能力について、できるだけ詳しく記載してもらってください。
- 認定結果
検査の結果、脳脊髄液の漏出が認められたため、ブラッドパッチを行ったものの、起立性の頭痛をはじめとした症状が残っている。一般状態区分がオであり、日常生活活動能力が歩行困難というだけでなく、食事や排せつも他人の介助がないと困難な状態となっており、ほぼ終日就床して過ごしていることから、「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」に該当すると諦められるので、 1級9号と認定されます。
厚生労働省年金局事業管理課作成の脳脊髄液減少症の「その他の診断書」による1級~3級の認定事例の診断書PDFの全文と認定方法の解はこちらです。参考にしてください。
脳脊髄液減少症の情報サイト
*脳脊髄液減少症の情報(岡山県HP)
http://www.pref.okayama.jp/page/259110.html
*特定非営利活動法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会
http://www.npo-aswp.org/
https://www.facebook.com/%E8%84%B3%E8%84%8A%E9%AB%84%E6%B6%B2%E6%B8%9B%E5%B0%91%E7%97%87%E6%82%A3%E8%80%85%E5%AE%B6%E6%97%8F%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%8D%94%E4%BC%9A-130218163775529/timeline
*脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する調査研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/24254
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