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遷延性植物状態(遷延性意識障害)
遷延性植物状態とは「意識障害により昏睡した状態にあること」をいいます。
平成26年4月1日から「その他の疾患による障害の認定基準」に「遷延性植物状態」が追加されました。
遷延性植物状態については、次により取り扱う。
ア 遷延性植物状態については、日常生活の用を弁ずることができない状態であると認められるため、1級と認定する。
イ 障害の程度を認定する時期は、その障害の状態に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められるとき(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
その他の疾患による障害の認定基準はこちらです。
遷延性植物状態については、「日本脳神経外科学会による遷延性意識障害の定義」があります。
日本脳神経外科学会による遷延性意識障害の定義(1976年)・・・学会では遷延性意識障害、障害認定基準では遷延性植物状態となっています。
①自力移動が不可能である。
②自力で食物摂食が不可能である。
③糞・尿失禁がある。
④声を出しても意味のある発語が全く不可能である。
⑤簡単な命令には応じることもあるが、それ以上の意思疎通はできない。
⑥眼球は動いていても認識することは出来ない。
遷延性植物状態の障害認定は、次のように取り扱われます。
遷延性植物状態の等級認定は、上記の①~⑥に該当し、かつ、3カ月以上継続しほぼ固定している状態であれば、日常生活の用を弁ずることができない状態であると認められるため1級に認定されます。
障害認定日を判断する際の起算日は、定義の6項目に該当した日になります。
遷延性植物状態の診断書記載のポイント
・⑨「現在までの治療の内容、期間、経過、その他参考になる事項」欄に起算日(定義6項目に該当した日)を記入する。
記載例1 令和○年〇月〇日遷延性意識障害の診断基準6項目に該当した。
記載例2 令和○年〇月〇日意識障害を呈して昏睡となる
・⑦「傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む)かどうか」欄に治った日を記入する。治った日(症状固定した日)は起算日から3カ月以上経過した日です。
記載例
平成26年12月31日事故当日に6項目に該当すれば最短で平成27年3月31日が障害認定日になります。
「平成26年12月31日、遷延性植物状態と診断」と記入する。
・診断書に記載する「現症年月日」は⑦欄の治った日から3カ月以内の日です。
植物状態と脳死との比較
「植物状態」は、一般的には脳の広範囲が活動出来ない状態にあるが、辛うじて生命維持に必要な脳幹部分は生きている状態を指す。一方脳死は生命維持に必要な脳幹機能が不可逆的に停止している状態を指す。植物状態では自発呼吸があり、脳波も見られる。植物状態の場合はまれに回復することがあるが、脳死の場合は回復しない。
参考 Wikipedia
脳死の障害年金請求
脳死は脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態(医学的脳死)をいい、「臓器の移植に関する法律(平成9年7月16日法律第104号)」における法的脳死は含みません。脳死と認められると1級に認定されます。
脳死の診断書記載のポイント
脳死状態の場合、脳死状態と判断した日を診断書備考欄に記入する。
記載例 令和○年○月○日、脳死状態と診断
遷延性植物状態からの回復の可能性
遷延性意識障害になった場合は意識の回復は困難であるが、世界の諸国の臨床の現場から、遷延性意識障害患者に対する意識回復のための治療と、多数の意識回復事例が、臨床医療論文として報告されている。回復の程度は、最小意識状態、高次脳機能障害、知的障害、発症前と同等の健常者状態など多様である。
有名人の事例として、F1レーサーであったミハエル・シューマッハは2013年12月29日に、スキー中の事故で脳を損傷し、意識が回復せず遷延性意識状態になったが、事故から5か月と18日(169日)後の2014年6月9日に意識を回復してリハビリ病院に転院してリハビリを開始し、事故から8か月と11日(254日)後の2014年9月9日に退院して自宅に戻り在宅療養・リハビリに移った。
2014年11月~12月の時点で、シューマッハの主治医、家族、マネージャーは、シューマッハの回復状況に関する報道で、シューマッハの主治医であるジェラール・サイヤンはFIAの広報担当者を通じてAFP通信に対して、マネージャーであるザビーネ・ケームはドイツの新聞ビルトに対して、主治医であるジェラール・サイヤン、妻であるコリーナ、マネージャーであるザビーネ・ケームによる公式発表などの一次情報の出典がない伝聞による情報・報道は信ぴょう性がないと述べている。
シューマッハのマネージャーであるザビーネ・ケームは2014年11月23日時点で、ドイツのテレビ放送RTLに対して、シューマッハの状態には「ケガの深刻さに合った進歩」しているが、事故前の健常者だった状態に回復する可能性や、回復にかかる時間は、現時点では断言できない、どの程度まで回復するにしても、長い時間がかかり、困難な過程になると予想されると述べた。
岡山県岡山市にある社会福祉法人恩賜財団済生会支部岡山県済生会の岡山療護センターは、遷延性意識障害患者の治療病床を50床保有し、1994年6月の開設から2014年12月31日までに、累計で333人の患者を受け入れ、そのうち128人が遷延性意識障害から回復し退院した。
参考 Wikipedia
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